豊橋・学校いのちの日
令和7年度 豊橋・学校いのちの日
6月18日(水)、朝から日差しが強く、夏本番を思わせるようなとても暑い一日となりました。この暑さの影響で、当初予定されていた避難訓練は延期となり、体育館で行う予定だった講演会も急きょオンライン形式に変更されました。
生徒たちは、いつもより1時間ほど遅れての登校となり、安全に気をつけながら落ち着いて登校しました。昇降口では、各学年の先生方が温かく出迎え、安心した表情で校舎に入っていく様子が見られました。教室の黒板には、「学校いのちの日」を迎えるにあたって担任の先生からのメッセージが記されている学級もあり、生徒たちは静かにその言葉に目を通していました。
はじめに放送集会を行い、全校生徒および全職員で西野花菜さんのご冥福をお祈りし、黙祷を捧げました。その後、校長先生より「豊橋・学校いのちの日」に関するお話がありました。野外活動中のボート事故で命を落とされた花菜さんへの哀悼の意を表すとともに、章武館西側に植えられているハナミズキや「花菜花壇」、「花菜文庫」を今後も大切に守っていくことの意義について語られました。また、これらの活動を通じて、事故の記憶を風化させることなく、安心・安全な章南中学校を築いていくことの重要性が伝えられました。生徒たちはそれぞれの教室で、落ち着いた表情で真剣に話に耳を傾けていました。
「いのちの講演」では、彦坂祐志先生(保健体育教諭/パッションプロデューサー)をお招きしました。
"パッション"とは、情熱・夢中・熱中。誰もがもっているその情熱の原石を磨き輝かせ、「パッションを形にすることが人生の喜び」と語る彦坂先生は、教員として、そして"パッションプロデューサー"として多くの人の心に火を灯す存在です。
彦坂先生の壮絶な経験と復活
彦坂先生は、大学3年の秋、大けがをされ、医師からは「スポーツは二度とできない」「体育教師は無理だ」と告げられました。しかし、夢をかなえたいという熱い思いをもち、医学的には奇跡ともいえる回復をみせ、今日、体育教師、野球部顧問として活躍をされています。
彦坂先生が伝えたい3つのメッセージ
① 生きていることに感謝
「ありがとう」の反対は「あたりまえ」。心臓が動いていること、食べられること、笑えること、あたり前に感じてしまう日常にこそ、感謝を。
② ピンチはチャンス
どんな困難にも意味がある。ピンチは、よりよい自分になるための「種」。人生は山あり谷あり。それをどう乗り越えるかで未来は変わる。
③ パッションを大切に
パッションは一人ひとり違う、自分だけの色。誰とも違うその情熱を形にすることが、人生を輝かせるカギ。「やらなければならない」ではなく、「やりたい」を大事に生きよう。
午後からは、全校集会を行いました。花菜さんが言葉とデザインを考えた「夢があるっていい」という黄色い旗について生徒会執行部から紹介がありました。続いて、88文字の感謝の手紙の紹介や群読、章南中学校で歌い継がれている追悼歌「未来(あした)へ」の歌唱を行いました。詩や歌詞に込められた思いをかみしめながら声をそろえることで、一人一人の心が温まる時間となりました。
最後に、バルーンリリースを行いました。花菜さんが好きだった黄色のバルーンに全校生徒、全職員一人一人のメッセージをつけて飛ばしました。生徒たちのふり返りから、「私たち3年生にとって最後のバルーンリリースになってしまったけれど、これからもずっと忘れずに6月18日は「いのち」について考えていきたいです。」という感想を聞くことができました。
令和6年度「豊橋・学校いのちの日」
大雨が降り続くあいにくの天気の中、令和6年度「豊橋・学校いのちの日」をむかえ、2日間にわけて行事を行いました。
1日目
生徒たちは、いつもより1時間ほど遅く、安全に気をつけながら登校しました。昇降口では、各学年の先生に温かく迎えられました。
はじめに、放送集会を行いました。全校生徒、全職員で西野花菜さんの冥福を祈り、黙祷を捧げました。その後、学校長より「豊橋・学校いのちの日」についての話がありました。野外活動中のボート事故で亡くなった花菜さんへの哀悼の意を捧げるとともに、章武館西側に植えられているハナミズキや花菜花壇、花菜文庫を大切にしていくことでボート事故の風化を防ぎ、安心・安全な章南中学校を築いていこうという内容の話でした。生徒たちは、それぞれの教室で、落ち着いた表情で真剣に話を聞きました。
2・3限は、体育館へ移動し、全校集会といのちの講演を行いました。全校集会では、花菜さんが言葉とデザインを考えた「夢があるっていい」という黄色い旗について生徒会執行部から紹介がありました。続いて、群読づくり実行委員から全校みんなの言葉を集めてつくった日めくりの紹介があり、この日めくりの言葉から勇気をもらい、希望をもって生活していきたいという話がありました。
いのちの講演では、廣中郁子先生をお招きし、「深まる感受、心のつながり」という演題でお話をしていただきました。人は言葉がなくても心でつながり通じ合えること、また、「何もできない子は誰一人いない」一人一人みんな社会に必要とされている人間であり、たくさんの人と支え合いながら生活していることなど、いのちの大切さ、尊さについて深く考える機会となりました。
4限は、各学級へ戻り、担任の先生から、いのちや生き方についての話がありました。
5限は、体育館へ移動し、群読を行いました。友達や自分に生きる希望と生きる勇気をあたえられるように、全校生徒みんなで1つ1つ言葉を考え新しくつくった群読は、心から感情を込めて読むことができ、より心に響くものとなりました。生徒からは、「『希望と勇気の光を いつも心にいだき 生きていこう』のところがすごく迫力があり、全員のいのちを大切に生きようという思いが強まった気がしました。やってよかったなと思いました。」という感想を聞くことができました。
続いて、章南中学校で歌い継がれている追悼歌「未来(あした)へ」を全校生徒で合唱しました。三年生の生徒からは、「『君は教えてくれた 生きることの意味を』の歌詞から、今日は生きることの意味を教えてもらったと思います。」「私たち3年生は今日でこの歌を歌うことが最後になるのはさみしいです。次の一年生にも愛される曲であってほしいです。」など、学校いのちの日の行事に三年間参加しての感想を聞くことができました。
2日目
前日の雨も上がり、気持ちのよい天気となりました。午後から、今年で12回目となるバルーンリリースセレモニーを行いました。花菜さんが好きだった黄色のバルーンに全校生徒、全職員一人一人のメッセージをつけて飛ばしました。行事のふりかえりから、「今思うと、あの大雨も、悩んで(雨が降っていても)、必ず解決する(雨が上がる)ことを意味した神様からのプレゼントなのかなと思いました。」という感想を聞くことができました。
令和3年度学校いのちの日について
はじめに,全校生徒・全職員で西野花菜さんのご冥福を祈って黙祷を捧げました。
その後,学校長より「豊橋・学校いのちの日」について講話がありました。
20210618 学校いのちの日(職員向け校長講話).pdf
20210618 学校いのちの日(全校集会校長講話).pdf
2,3,4限は各学級で,学活,「いのち」をテーマとした道徳授業,「いのちの音楽会」を行いました。
「いのちの音楽会」では,ヴァイオリン演奏者の大竹広治氏,ピアノ演奏者の鈴木雅子氏をお招きして開催しました。大竹氏は,西野花菜さんが使っていたヴァイオリンでの演奏もしてくださいました。演奏の最後に,本校音楽科担当の水越教諭も加わり,「未来へ」を演奏しました。
午後からは,今年で9回目となるバルーンリリースセレモニーを行いました。セレモニーの最初には,花菜さんがデザインした「夢があるっていい」と花菜さんの言葉が書かれた黄色い旗を全校生徒に紹介しました。
感染症対策のため,全校での群読はできませんでしたが,代表生徒が「命の炎」の群読を行いました。
命の炎
僕たちはたくさんの奇跡が重なって
この場所で命の炎を燃やしている
生きているということは
うまくいかなくて腹が立つこと
怒られてはずかしくなること
のり切れず後悔すること
それでも必死に夢を追いかけること
そして愛されているということ
それは何よりも心が温かいということ
命の炎を精一杯燃やそう
ときに誰かの炎を借りて
ときに誰かの炎を照らしながら
強く命の炎を燃やしつづけよう
花菜さんが好きだった黄色のバルーンに全校生徒一人一人のメッセージをつけて飛ばしました。
生徒下校後には,職員の研修として,元豊橋市教育委員会学校教育課長の宮崎正道氏による講話をいただきました。事故当時の状況や私たち職員が生徒の安全,いのちを守るためにはどのような行動をとるべきだったのか等を教えていただきました。
その教訓を章南中学校の外部へと広げていくことの大切さも教えていただきました。今回の講話で,学校現場として,行事計画の段階から生徒の安全,いのちを最優先に考えること,様々な情報を集めて,危機管理に備えることの重要性を学びました。
私たち教職員一同,決してこのような悲しい事故を二度と起こさないよう最大限の努力をすることの大切さを多くの学校に広げていきたいと考えています。
令和2年度 豊橋・学校いのちの日
小雨の降り続くあいにくの天気の中,令和2年度「豊橋・学校いのちの日」が行われました。新型コロナウイルス感染防止対策のため,体育館で行う予定であった全校集会は各教室で放送にて行いました。まずはじめに,全校生徒・全職員とともに西野花菜さんの冥福を祈って黙祷を捧げました。
その後,学校長より「豊橋・学校いのちの日」について講話がありました。(講話の内容は別の記事に掲載)
2限は各学級で,学級担任による道徳の授業が行われました。「いのち」に関する題材を扱い,改めて「いのち」に対する考えを深めました。
4限は,今年で8回目を迎えるバルーンリリースセレモニー。直前より雨が強くなってきたため,校舎の窓から,メッセージカードをつけた黄色いバルーンを天高く放ちました。新型コロナウイルスの影響で,今年度は「未来(あした)へ」は,曲を流すのみとしました。天国の花菜先輩へ後輩たちからのメッセージを届けることができました。
午後は花菜さんの同級生で,現在は自らパン屋を経営している平松明華さんをお招きし,「パズルのピース」という演題でお話をしていただきました。最初に全校生徒が体育館へ入場し,学校いのちの日に掲揚塔に掲げる旗の紹介と講師の平松明華さんの紹介をしたのち,教室へ戻って放送にて講演を聞きました。
「笑顔はとても大切」「自分のためでなく,人に喜んでもらえることが自分の幸せ」など,自身の経験をもとに,生徒たちへたくさんのメッセージをいただきました。また,「花菜さんはとても笑顔が素敵な子でした」など花菜さんとの思い出も話していただき,後輩たちにとって花菜さんを身近な存在に感じたのではないかと思います。
生徒下校後には,職員研修として,花菜さんの父親である西野友章氏をお招きして,講話をいただきました。事故当時のことやなぜ事故が起こったのか,どう対応すべきだったかなど我々が教訓として忘れてはならない数々のお話を伺いました。また,教育現場で起こったいくつかの類似した事例をもとに,問題点や危機管理などをともに考える機会を与えていただきました。今回の講話で,改めて学校現場として,行事計画の段階から生徒の安全を最優先に考えることや危機管理の重要性を学ばせていただきました。教職員一同,決してこのような悲しい事故を二度と起こさないよう最大限の努力をしていきます。
「全校集会・校長講話」
今から10年前、6月18日は本校の野外活動の2日目でした。みなさんの先輩である「西野花菜さん」は、野外教育活動として行われた三ケ日青年の家でのカッターボート訓練中の事故で、尊い命を落としてしまいました。
今日は、何よりも、先生たちが、花菜さんのことやその事故のことを絶対に忘れない、安全については万全を期していくことを確認する日です。その一方で、みなさんも、自転車の乗り方や校内での安全について注意を受けることもありますね。つい最近も、安全委員の生徒から自転車での登下校について注意喚起がありました。また、昨年度中には、校内や登下校中で発生したけがで、念のためというのも含めて病院にかかってもらったものが50件近くありました。部活動中の事故で救急車を要請したこともありました。また、中には、長引いてしまったけがもあります。みなさんの身の安全を守るためには、先生達とともにみなさん自身の意識の高まりや協力も必要だということで、みなさんにもいのちの大切さを考えてもらう日となっています。この行事は、豊橋市内すべての小中学校で行っています。
さて、毎年、校庭に掲揚している旗を紹介します。これは、花菜さんの好きな色、菜の花の黄色の旗で、花菜さんが野外活動のしおりの表紙に描いた絵です。そこには、自然から学ぶ、協力の大切さを学ぶという意味で、生徒たちとカッターボートが描かれています。「夢があるっていい」。という言葉は、花菜さんが野外活動1日目の夜の研修会で、しおりに綴ったものです。この言葉には「私はこの同級生の活躍をみたい。」という続きがあります。花菜さんは、仲間の活躍を期待する学年のリーダーでありました。さらにときどきご病気をされたお母さんを思ってか、「自分の夢は医者だ。」と記していました。志の高い花菜さんなら、きっと、立派な医者になったことでしょう。この事故は、そんな花菜さんの夢を一瞬で奪い去ってしまいました。
この、黄色い旗は、三つあり、三ケ日青年の家と運営会社であった小学館集英社にもあります。今日は、それぞれの場所でも追悼の行事が行われ、この旗が掲げられます。三ケ日青年の家では、今でも行事のたびにこの旗が掲げられています。また、今年は曲を流すだけになってしまいますが、毎年みなさんが歌っている「未来(あした)へ」は、当時の家庭科の先生が花菜さんを忘れないための何かを残したいという思いで作られたものです。この歌は、三ケ日青年の家での追悼行事の中で三ケ日中学の生徒も毎年歌っています。
このほかにも、「忘れない」ために目に触れることができるものが用意されています。一つは章武館の西側にあるハナミズキの木です。もう一つは図書室にある花菜文庫です。花菜文庫の本は西野さんのご両親から寄付していただいており、現在541冊目になります。お母さんが設計してくださった書棚も三つになりました。パネルも掲示してあります。このほかに、吹奏楽部が演奏する曲の楽譜を14曲分いただいています。
今日は、いのちを考える道徳の授業、そして、西野花菜先輩を追悼するバルーンリリースを実施します。午後からは、花菜さんが「活躍を見たかった」同級生であり親友の平松明華さんから「パズルのピース」として講演をしていただきます。みなさんが下校した後は、何がなんでも先生がみなさんの命を守り抜くという研修として「自然体験活動の取り組みについて」という題で花菜さんのお父さんである友章さんからお話をうかがいます。
今日は、花菜さんのことを静かに思い、かけがえのない命の大切さ、また、家族や友達、周りの人の命を大切にするためになすべきことを考える一日となることを期待して、わたしからの話とします。今日は、よろしくお願いします。