日誌

成長のすき間

   校長室から見えるメタセコイヤとイチョウの若葉のすき間から、陽光が差しこんできました。すがすがしい初夏の空気に、学級をのぞくことにしました。

   1年生の教室では、大きなカードに、自分の名前を書いていました。「入学してはじめて書く」という名前。大きい文字や小さい文字、震えた文字や曲がった文字、また用紙の余白が広いなど、バランスは気になりますが、その一生懸命さが伝わってきます。

2年生から6年生は、お話タイムがスタートしました。第1回目のテーマは、「今年、がんばりたいこと」「お話タイムで話し合いたいこと」「自己紹介」等、1年のスタートにふさわしいものが多いようです。しかし、まだ学級開きから間もない今、昨年のような活発な話し合いは見られません。新しい仲間の様子をうかがうように、沈黙が広がります。意見が出ないので、司会者もどうまとめていいのか戸惑っています。全体的に重苦しい空気が漂っていました。

   しかし、それでいいんだと思います。この「うまくいかない」ことが、学級の課題になり、それをみんなで克服していくことが、成長につながると思うのです。

   校長室からの見える若葉も、まばらです。そのすき間から青空が望めます。1年生の名前の余白も、他学年の話し合いの沈黙も、いわば成長のための大切なすき間なのです。

  夏になれば、若葉で覆われ、優しい木陰を作ってくれる樹々のように、子どもたちもきっと、成長のすき間を埋めるべく、頑張って取り組んでくれるでしょう。そう思うと、むしろそれらは、希望や楽しみのように、感じてならないのです。