日誌

白いテープ


 わんぱくタイムになりました。ふれあいルームは、トーチ棒を手にした子どもたちがなだれこんできました。間近に迫った野外活動のファイヤーのトーチトワリングの練習です。それぞれが、思い思いにトーチ棒を指に挟んで回し始めています。そこに瀬野尾先生が現れると、一気に頑張ろうという緊張感が高まります。さすが瀬野尾先生、彼の卓越した指導力に感銘を覚えます。ただ昨年度から雨男として一世を風靡した人ですので、当日の天候については一抹の不安がよぎります。映画で話題になった「天気の子」を呼んできたいものです。

 練習が始まりました。すると程なく練習の輪から抜けて、部屋の片隅で手に巻いてあったテープを巻き直している子がいます。ああ家庭や学校で練習を繰り返し、おそらく指の関節や指と指の間が棒で擦れて負傷しているのでしょう。痛いだろうなという心配をよそに、本人は痛がる様子を微塵も見せず急いで練習の輪に戻りました。そんなことを思って子どもたち全体を見渡すと、多くの子の真黒に日焼けした手元に、白いテープがまぶしく見えます。本物の炎を扱う恐怖や緊張を前に、本気になって取り組む子どもたち、その勲章のように白いテープは輝いています。

 時を同じくして、家庭科室では、カレーの調理実習が進んでいました。額に汗して、ジャガイモ皮むき、具材の煮込みに真剣に取り組む姿を見ていると、ここでも5年生の野外教育活動に寄せる思いの強さがひしひしと伝わってきます。カレー作りも万全なようです。

「あなたは、来年職がなくなるかもしれないから、料理でも勉強したら…」家庭で言われました。食欲の秋、料理などあまりしたことがない私の手も、白いテープに覆われているかもしれません。